ゴッシク・メタル U


ロックを40年も聴いていると、ジャンルは同じロックでも
実質違うジャンルと思われる音楽にたくさん出会います。

ここでは90年代以降に ゴシック・メタルと呼ばれるアーティストを中心にピックアップしました。
このくらい新しくなるとYOUTUBUにいろいろな動画がアップされています。
その動画もいっしょにご紹介します。




アフター・フォーエバー(After Forever)


オランダのシンフォニック・ゴシック・メタル・バンドです。
残念ながら2009年に解散してしまいました。

かなり本格的レッスンを受けたと思われるヴォーカルのフロール・ヤンセンの圧倒的パワーが売りで、女性ヴォーカルのシンフォニック・ゴシック・メタル・バンド数あれど、実力では1・2を争うと思います。
オペラティックな歌唱ではナイトウィッシュのターヤには負けそうですが、ロックっぽく力強く歌う時のパワーはダントツだと思います。
もっとも、このジャンルでは、力強く歌う女性ヴォーカリストはあまりいないかも知れませんが。。。

それはさておき、アフター・フォーエバーから派生したバンドであるエピカとともに、シンフォニック・メタルはこうでなくちゃ的な音は、どの曲でも裏切りません。
逆に言うとどの曲も同じようなアレンジなんですが、この手の音が好きな人には自信を持ってお勧めします。はい。
但し、デスヴォイスも適度に入っているので、ゴシック・メタルをあまり聴いたことのない人には、これが受け入れられるかどうかが分かれ目かもしれませんね。

そして、フロール・ヤンセンがリヴァンプなる新しいバンドを結成したらしいです。
まだ聴いてませんが、アフター・フォー・エヴァーの続編のような感じなんでしょうか。


(2010-12-08)



私が最も好きな曲 「Sins of Idealism」 を動画でご紹介します。





フロール・ヤンセンとデスヴォイスの掛け合いがゴシック・メタルっぽい「Between Love and Fire 」
普通は「美女と野獣」の対比となるのですが、美女がパワー満点なところが、このバンドの特徴です。









Markiza



フランスのシンフォニック・ゴシック・メタルバンドです。
アルバムは07年に発表した「TRANSPARENCE」の一枚だけでエヴァネッセンスをシンフォニックに焼き直したようなサウンドです。

このアルバム自体はけっこう普通なのですが、MARKIZEがテレビ出演した時のライブがYouTubeにアップされています。
これが素晴らしいのです。

アルバムと違いアコースティックライブで、ヴォーカルの Alina Dounaievskaya(なんと発音するんですかね) がウィズイン・テンプテーションのシャロン・デン・アデルに匹敵するのではないかと思われるような歌声を披露しています。
このAlina Dounaievskayaは名前から察するとロシア系なのか、アルバムにも一曲だけロシア語の曲が入っています。

最初のアルバムからもう5年になるので、MARKIZEは活動しているのかどうかわかりませんが、もし、次のアルバムが出たらデビューアルバムのようにエヴァネッセンスの真似事ではなく、打倒シャロン・デン・アデルを目指すような本格的シンフォニック&ゴシック・メタルなアルバムを期待してしまいます。



そのアコースティックライブで「In My Dream 」



そして「Transparence」



最後は本来のシンフォニック&ゴシックメタルな「Mon Ange 」








ザ・ギャザリンク (The Gathering)


今や当たり前のようになった「女性ヴォーカルを前面にしたゴシック・メタル・バンド」の先駆者的存在です。

このオランダ発のザ・ギャザリングは日本盤のアルバムが出ていないのか、新宿・渋谷周辺のTSUTAYAなどのレンタルショップやネットレンタルでは扱っていません。
基本的にCDを買うことはせずにレンタルに徹しているのですが、ザ・ギャザリングはどこを探しても見当たらないので、仕方なく「amazon」で輸入盤を買いました。
やはりゴシック・メタルが好きならば、知らないでは済まされないバンドですからね。

このバンドはメンバーチェンジをしながら、また音楽の質を変えながらも、けっこう長く続いています。
私が興味あるのは、やはりヴォーカルがアネク・ヴァン・ガースバーゲンだった頃で、しかもデジタルサウンドが目立つ前のサウンドです。
ミディアム&スローテンポの重々しいギターリフに負けないアネクのパワーあふれる歌声は特筆ものです。
ゴシック・メタルには強力な女性ヴォーカリストが多く存在しますが、ナイトウィッシュのターヤ・トゥルネンのようにオペラティックではなく、フロール・ヤンセンのように力強く歌うわけではないのに、メタルサウンドに負けない声質は独特ですよね。
専門的にはわかりませんが、エヴァネッセンスのエイミー・リーに似ているかも知れません。
いずれにしても、このジャンルでは特別な存在ですよね。


動画で2曲ばかりご紹介します。初期の代表曲の一つ「Eleanor」。このライブのアネクが一番好きです。



ギャザリング脱退後、ウィズイン・テンプテーションと共演。
シャロン・デン・アデルとアネクが歌う「Somewhere」。感動してしまいます。









Nota Profana


Nota Profanaはベネズエラのシンフォニック・ゴシック・メタル・バンドです。
実はこのバンド(ユニット?)を紹介しているサイトがほとんど見当たらないので、多分ベネズエラのバンドで、多分総勢20人前後いるアーティストをまとめてNota Profanaというバンドなんだと、私が勝手に推測しています。

このバンドを知ったのはYouTubeのキーワードで「Opera、Metal」などで検索しながらうろついていたらヒットしたバンドです。
ちょこっと聴いてみると、本格的なクラシック音楽を経験しているであろう弦楽器奏者を中心に、美人なソプラノ歌手とギターに男性ヴォーカルが、素人にはとても真似できそうにないシンフォニック・メタルを演奏してました。
ほとんどのバンドのシンフォニックらしい音は、ライブではシンセサイザーで作られた音であり、かなりのメジャーでない限り本当のオーケストラとの共演は無理です。
そんな中で、このNota Profanaは演奏者が揃っていて、これだけで充分な差別化が出来ています。

「VIOLENT WHISPERS」なるアルバムも一枚発表しているので、プロなんだと思いますので、新しい作品を聴いてみたいですね。



動画でクラシック調な静かな出だしで始まる「Dragon's Grail」









アポカリプティカ (Apocalyptica)


アポカリプティカはフィンランドのチェロをメイン楽器にしたヘヴィメタルバンドです。
このバンドを聴くきっかけは、なんと言ってもネットを巡回中に「3人のチェリストがメタルやってる」的な記事を見つけてからです。
チェロ=クラシック、チェロ=ヨーヨー・マのイメージがあり、どうやってチェロでメタルを演奏するのか興味がありました。

最初にYoutubeで見た動画が、曲は忘れましたが野外ライブ会場で、見事にチェリスト3人で迫力あるメタルを演奏しているものでした。
特に大のお気に入りバンドになるところまではいきませんが、たまに聴くには変化があって貴重な存在です。
こんなバンドが大きな会場でライブができるほどにメジャーになれるとこなど、ヨーロッパならではだと思います。

最初のアルバム(この時期はチェリスト4人のみ)がメタリカのカヴァーで構成されていました。
メタリカ自体をほとんど知らない私は思い入れが全くないこともありますが、基本弦楽四重奏のこの頃より、後のアルバム「Reflections Revised」のように、ドラムが加入したバンド形式のサウンドが好きです。


動画で2曲ご紹介します。まずは「Enter Sand Man 」



次に「Master of Puppets」 。
この曲はメタリカのカヴァーで、最初のアルバムにも弦楽四重奏っぽく収録されていますが、
ドラムが加わったライブだと、こうまで違うかと思えるほどの迫力です。






ディレイン (Delain)


ディレイン (Delain) は、オランダのシンフォニック&ゴシック・メタル・バンドで、元ウィズイン・テンプテーションのメンバーが中心に結成されたようです。
そのためデビューアルバム「Lucidity」では、ウィズイン・テンプテーションのヴォーカルのシャロン・デン・アデルやナイトウィッシュのヴォーカル&ベーシストのマルコ・ヒエタラなど、このジャンルの大物が参加しています。

セカンドアルバム「April Rain」は本来のメンバーでの作品で、これまた面白いアルバムになっています。
典型的オランダのシンフォニック&ゴシック・メタルサウンドで、女性ヴォーカルのシャルロット・ウェッセルスの聴きやすい歌に、仰々しさとダークさを合わせ持った演奏がピッタリと合っています。

私のお気に入り曲はファーストアルバムにあった「The Gathering」です。
ついつい口ずさみたくなる、とてもわかりやすいメロディで、ゴシック・メタルだとかシンフォニック・メタルだとか言っておきながら、一番気に入る曲はこのような「普通の曲」になることが多いんですよね。
「April Rain」がでてから4年がたちますが、新作はまだなんですかね。

2012-02-10



動画で「The Gathering」







ビフォア・ザ・ドーン (Before the Dawn)


フィンランドのゴシック・メタル・バンドです。
かなりデスヴォイスを多用するので、正式にはゴシックメタルではなく、私があまり好きではないデスメタルかも知れません。

しかし、さすがに北欧のバンドだけあって、ただ疾走して終わりとか、ただ叫んで終わりとかではなく、しっかりと聴かせるところは聴かせてくれます。
アルバム「Deadlight」の「Wrath」、「Deadsomg」は代表例で、基本押しまくりの曲にゴシックやシンフォニックっぽいエッセンスが入っています。
そのバランスがとても心地良く、センスの良さを感じてしまいます。

最近のメタルに限らす、ロック全般に言えると思いますが、アルバムのテーマがひとつに統一されていて、最初の曲から最後まで安心して聴くことができるような気がします。
30〜40年前あたりのロックやブルースアルバムには、途中やたらとポップな曲が混じってることが珍しく無かったように思います。
段々とアーティストの思い通りの作品が作れるようになってきたんですかね。


動画は「Deadsomg」







ディライト (Delight)


ポーランドのゴシック・メタル・バンドです。
ゴシックと言うほどダークさはありませんが、女性ヴォーカルのパウリナ・マスランカの、良く言えば聴きやすい、悪く言えば個性がやや薄い歌声が、バックのメタルサウンドにうまく乗っかっています。

私にとって、このバンドは特に気に入っているわけではない割には聴く回数が多いのです。
自宅で音楽聴く時は、殆どがパソコンに向かっているときで、それなりのボリュームにしているもののBGM的に流しています。
デライトはBGM的に流すメタルとしては打ってつけなんです。
音はハードなんですけど、聴いてて疲れないというか癒やされる感じです。

ただ最も好きな「Divided」という曲は全くゴシックではなく、明るく軽快なメタルです。この手のバンドとしては珍しい感じですが、PVではパウリナ・マスランカが元気いっぱいにピョンピョンと飛び跳ねてます。

またワムの名曲「Careless Whisper」をカヴァーしてまして、これが他のブログなど見ると、それなりに話題になってますが、個人的にはこの曲はワムの方が好きですね。



動画で「Divided」です。






エリシオン (Elysion)


エリシオンはギリシャのゴシックメタルバンドです。
ゴシックと言いながらも、曲自体にゴシック色はあまり無く、ファーストアルバム「Silent Scr3am」のジャケットだけが、やたらにゴシックっぽいのが面白い(?)ところです。

このファーストアルバムのマスタリングに、メジャーバンドを手がけているエンジニアを起用していることが話題になったりしているので、ゴシック系で人気のエバァネッセンスに便乗した、売り手としては売れないと困るバンドなのでしょうか。

とはいえ、多少なりともゴシックメタルをベースに様々な要素を含んだサウンドは、ウイズインテンプテーションやエヴァネッセンスに通じるものになっているのも事実です。
なにしろメロディーが素晴らしいです。
ポップアレンジにしたら、シングルヒットしそうな曲ばかりです。

女性ヴォーカルのクリスティアーナは声量豊かで伸びがあり、なかなか良い感じのする歌声です。ライブ映像を見ると、CD音源ほど高音域が綺麗ではないかなと思わないではないですが、まだこれからと言うことで今後に期待ですかね。









Diabulus In Musica


女性ヴォーカルのZuberoa Aznarezをフロントにしたスペインのシンフォニック・ゴシック・メタル・バンドです。
2010年にCDデビューした新しいバンドで、シンセを多様しながらもストレートな演奏が主体になっています。
「DIABULUS IN MUSICA」とは邪悪な音との意味らしいですが、名前の割には「暗さ」や「鬱蒼」などのゴシック色はあまり感じることはなく、いかにも現代版シンフォニック・ゴシックなバンドです。

ゴシック系バンドにはどうしてもトリスタニアなどのような「暗さ」を求めてしまう古いタイプの私には、音が健康的過ぎるかなと感じないではないです。シングルヒットした「Sceneries of Hope」は明るすぎて今一つ好きになれません。 ただ、しっかりとクワイヤを取り入れてZuberoa Aznarezの歌声を引き立てている「New Era」や「St Michaels Nightmare」などの曲は、けっこう聴き応えがあります。
動画を貼ろうと思って探したのですが、新しいバンドにしてはYoutubeにあまりアップされていませんでした。

そのなかではかなりまともなライブ映像で「New Era」





そして「St Michaels Nightmare」







エリス (Elis)


リヒテンシュタインのゴシック・メタル・バンドです。
リヒテンシュタインとはどこにあるのか、どの様な国なのかは詳しく知りませんが、音楽シーンであまり頻繁に出てくる国名ではないです。
たしか冬季オリンピックではスキー選手などが、けっこう活躍していると思います。

さて、肝心なエリスですが、ゴシック・メタルに多い女性ヴォーカルを前面にした、演奏はハードながらも聴きやすく綺麗なメロディがメインなバンドです。
しかし、2006年にヴォーカルのサビーネ・デュンサーが亡くなってしまい、クオリティの高いサウンドとサビーネの美貌と美声で人気を得ていたバンドなので、大打撃は間違いなかったと思います。

新たにEyes Of Edenのサンドラ・シュルレを新ヴォーカルにアルバムを発表しましたが、サビーネと似た声で、私などパッと聴いただけでは違いがわからない程です。
どうもそのサンドラ・シュルレも脱退したみたいで、後任がすでに決まっているとかいないとか。
バンドの顔がコロコロと変わってしまい不安定ですけど、キレイ系ゴシック・メタルの代表的バンドなので、なんとか更に良い作品を発表してほしいものですね。



動画で代表曲「Der Letzte Tag」を是非ともサビーネ・デュンサーの歌で。。。