ドゥーム・メタル U


ロックを40年も聴いていると、ジャンルは同じロックでも
実質違うジャンルと思われる音楽にたくさん出会います。

ここではメタルの中でも、テンポが遅く、地を這うようなダウナー感を特徴としている
ドゥーム・メタル系のアーティストを中心にピックアップしました。
ゴシック・メタルと親戚のようなジャンルで、ドゥームのみを演奏するバンドはそれほど多くないようです。




トリスタニア (Tristania)


ゴシック・メタル創世記のメジャーバンドです。
ノルウェー発で女性ヴォーカルのヴィベッケ・ステーネを前面に、ダークでメタリック、しかも美旋律を売りにした、北欧的香りがする「これぞゴシック・メタル・バンド」的な存在です。
大々的に取り入れたシンフォニックサウンドや男女コーラスに対する重々しいギターリフ、ヴィベッケ・ステーネのソプラノに対する男性のグロウルと、「天と地」・「美女と野獣」の対比を最も明確に表したバンドのひとつだと思います。
音楽性からなのか、たまたまなのかはわかりませんが、活動期間の割には発表されたアルバムは少ないのは、少しばかり残念です。

こんな曲ばかり聴いていたら疲れてしまいそうですが、古今東西・人種を問わず、暗い歌好きな私としては抜群の存在感があります。
それと更に残念なのはダークな雰囲気が充満していた初期のライブ映像がYoutubeにもあまり多くないことです。



そんな中で、数少ないライブ映像です。曲は「My Lost Lenore」



続いて「Evenfall」







The Sins Of Thy Beloved


1996年結成ノルウェーのドゥーム系ゴシック・メタル・バンドです。
同時期にノルウェーで活躍したトリスタニアと同様に、美女と野獣のスタイルを追求したゴシック・メタル創世記の典型的スタイルです。
女性ヴォーカルのAnita Auglendがやや日本でいうゴスロリっぽいイメージでかわいらしく、危なそうに歌っているのが印象的です。












Esoteric


Esotericはイギリスのフューネラル・ドゥーム・メタル・バンドです。
この手のバンドのお決まりとなっている、何を言っているのかさっぱりわからないグロウルを多用した、徹底して暗く、重いサウンドはフューネラル・ドゥームを知らない人は「なんだこの音楽は。」と感じてしまうと思われます。
しかし、同じジャンルの大御所バンドEvoken以上にヘビーで聴きやすい(?)サウンドで、ゴシック・メタルが好きな人であれば受け入れられそうです。

ドローンとした地を這うようなドゥームが延々と続くのは他のドゥーム・メタル・バンドと同じですが、Esotericはサウンドにメリハリがあって、メロディがなにしろ美しいのです。
これをメロディと言えるのかどうかはよくわかりませんが、各楽器のひとつひとつの音と地下からの叫び声といった感じのグロウルが重なり合って、本当に素晴らしい「音楽」となっています。



Youtubeより「Abandonment」 と 「Ignotum Per Ignotius」











Ahab (エイハブ)


Ahabはドイツのフューネラル・ドゥーム・メタルバンドです。
スローテンポの重いギターリフと地下から響き渡るようなグロウルとが重なって、典型的フューネラル・ドゥームを演奏しています。

このバンドは私がドゥーム系の音楽を聴くきっかけになったバンドです。
それまでドゥームは、同じ系統とされるゴシック・メタルとは違い、「ちょっと、こういうのはどうなの?」と感じていました。
しかし、「暗い音楽は私の得意技」くらいに思っている私としては、聴かず嫌いはいけないということで、手始めにバンド名が様になっているAhabを聴いてみました。
あの「おえっ。」となりそうなグロウルに慣れてしまうと、とても綺麗で安心できるリズムとメロディと思えてきます。
しかもAhabは音が最近のドゥーム・メタルにしては音がシンプルで、ギターリフもとてもわかりやすいので、ドゥーム初心者にはぴったりだったのかも知れません。











Estatic Fear


Estatic Fearはオーストリア出身のドゥーム系ゴシック・メタルバンドです。
ドゥーム系だけあってスローテンポな曲が多く、当然のように男性グロウルも入ってきます。
しかし、バックの演奏はとてもクラシカルで、メタルサウンドと素晴らしく融合されています。

中心は透き通ったクリーンヴォイスの女性と男性グロウルで、どちらもとても聴きやすいレベルの高いヴォーカル陣ですが、どちらかというと全体を支配しているのはメランコリックな演奏です。
まだ2枚しか発表されていないアルバムの内、「A Sombre Dance」は全体を通して1曲のような構成で、最初のイントロから最後までこの上ない美しさとなっています。
アコースティックなギターやフルートなどが、ディストレーションがかったメタルサウンドに絡む構成は、ひょっとしたら数あるゴシック系メタルバンドの中でもナンバー1かもしれません。


「A Sombre Dance」の中から「Chapter I」と「Chapter IV」









Funeral (フューネラル)


ノルウェーのゴシック・ドゥーム・バンドです。
フューネラルとのバンド名からもわかるように、ドゥームの中でも最も暗さを強調するフューネラル・ドゥームを基本としています。
フューネラルとは「葬式」の意味で、バンド名が葬式なんてどうなんだろうと思わないではないですが、名前の割にはキレイな歌声の女性ヴォーカルが聴きやすいです。
最近男性ヴォーカルのみとなりました。

Evokenなどとは違うやや甘めなサウンドなので女性ヴォーカルの方が良いような気がしますけど、どうなんでしょうか。
私的には女性ヴォーカルだった頃の「When Light Down」など、いかにも耽美的ドゥームといった方が雰囲気があって好きです。
しかし、最近の男性ヴォーカルになってならの「This Barren Skin」などは、マイ・ダイイング・プライドに似た感じで、正統派ゴシック・メタルらしくて様にはなっています。
ヴォーカルが交代すると全く違うバンドになったかのようになりますね。










Elegeion


Elegeionはオーストラリアのドゥーム系ゴシックメタル・バンドです。
けっこうブラックなメタルサウンドに、とても綺麗な女性ヴォーカルが基本になっています。
その女性ヴォーカルはDieudonnee(読み方が全くわかりません)という名前だそうですが、とにかく重々しく歪んだギターサウンドに対し、素直で高音域が素晴らしい歌声はこのジャンルにはピッタリです。
メタルっぽい曲も良いのですが、「Reignstorm」「A Rare Moment」など、悲しげで美しい旋律の歌声が素晴らしいです。
そこに男性のグロウルが混ざり込んで、スローテンポな重苦しい雰囲気の中で男女の声がベストマッチします。


私の最大のお気に入り曲は、メタル色がほとんど出て来ないメランコリックな「Scars」です。
ムーンライトの「Ergo Sun」やウィズイン・テンプテーションの「Memories」に匹敵するくらい雰囲気のある綺麗な曲になっています。












Forest Of Shadows


スウェーデンのドゥーム・メタル・バンドです。
たしかに以前はバンドとして活動してたようですが、発表したアルバムでは殆どメンバーのNiclas Frohagenがひとりで作成したようです。
曲によってはドラムの打ち込みが露骨にわかってしまい、せっかくの重苦しいサウンドが軽く聞こえてしまうところもありますが、全体的にはメタリックな良い雰囲気な曲が多いです。

ドゥームの中でも最も暗い部類に入るフューネラル・ドゥームに近く、ゆったりと進むリズムに重いギターサウンド、そして迫力あるグロウルが全体を支配します。
しかし、この手のジャンルにしてはメロディがしっかりとあり、アコースティックでメランコリックな箇所もあるため、とても聴きやすいです。
逆に言うとドップリとドゥームに浸かり、暗黒性と陰鬱な雰囲気を感じたい人には中途半端かもしれませんけどね。











Witch Mountain


Witch Mountainのような音楽をドゥーム・ストーナー・バンドというそうです。
ストーナーとは「麻薬常習者」のことで、麻薬に関する歌詞が多いのだとか。
英語の歌詞はほとんど何を歌っているのかわからない私には意味の無いジャンルだったりします。(偉そうに言うことではないですね)

私にとって重要なのは「ドゥーム」であることです。
ドゥームにも色々あって、このバンドの場合はヨーロッパのドゥーム系バンドとは異なり、ブルース臭がする、ブラック・サバスの影響を受けたバンドらしいです。(このあたりの事情もよくわかりません)
わからないことだらけのWitch Mountainですが、ヘヴィーなドゥーム・サウンドだけはインパクト充分です。
スローで単調なリズムに合わせたベースとギターの上を気だるそうな女性ヴォーカルが乗っかります。
このUtaPlotkinというヴォーカリストが、バックの演奏に負けることなく力強く歌い上げます。











How Like A Winter


イタリアのドゥーム色の強いゴシック・メタル・バンドです。
How Like A Winterのような割とシンプルな耽美的サウンドはけっこう好きなので、興味あるバンドのひとつです。
ただ発表したアルバムは「Beyond My Grey Wake」のみで、正式に解散はしてないようですが、ほとんど自然消滅状態みたいです。
グロウルとクリーンヴォイスを使い分けて、マイ・ダイイング・ブライトのような正統派ゴシック・メタルらしい男性ヴォーカルの露出度が多めですが、実は女性ヴォーカルが2人もいます。
但し、露出度が少ない上に2人の声が似ているので、あまり目立たないのは残念です。

ヴァイオリンを効果的に使用してゴシックらしさを強調しているところは、El Cuervo de Poe や Elegeionとかと同系列ですが、男性ヴォーカルがメインであることと、メタルサウンドが強めなので、ほかの2バンドよりも押しが強い感じがします。