フォーク・メタル


ヨーロッパを中心にフォークやトラッドをメタルサウンドにのせたり、
北欧神話や戦いに明け暮れるヴァイキングを主要なテーマに置いた

ヴァイキング・メタルとよばれるバンドが数多く存在します。
それら民族音楽を意識したメタル・バンドをピックアップしました。





アルコノスト (Alkonost)


ロシアのヴァイキング・メタル・バンドです。
ロシア語による女性ヴォーカルと、男性のグロウルが全体を引っ張ります。
沖縄民謡をウチナーグチで歌うと「おっ、沖縄の島歌だ。」と思えるのと同じように、ロシア語とかハンガリー語とかのヴァイキング・メタルは、その言葉だけで「ヴァイキング・メタルだ。」という雰囲気が出ますね。(言葉が全くわからないので非日常的な文化に触れている感じがするだけなんですが)

女性ヴォーカルのAlena Pelevina は高音域が綺麗な声の持ち主で、男性のグロウルとの対比はとても安心感があります。
曲もヴァイキング・メタルにジャンル分けされる割にはシンプルな聴きやすい雰囲気になっています。
Alena Pelevinaが小柄なのか周りの男性達が大柄なのかわかりませんが、ライブ映像を見ると、一番目立つはずのヴォーカルが小さくって目立たないのが面白いところです。

それにしても、日本ではグロウルをデスヴォイスと呼ばれていますが、アルコノストのように暗黒性や暴力性を強調しないバンドでは本来の「グロウル」と呼んだ方がピッタリきますよね。


ライブ映像で「Neskazanniy Svet 」



続いて「The Night Before The Battle」








エルヴェイティ (Eluveitie)



エルヴェイティは、スイスのフォーク風味のメロディック・デスメタル・バンドです。
民族楽器を大胆に取り入れることで、余裕の無いガチガチなデスメタルと違う、土着的でアナログな感じがプラスされたユニークな音楽が出来上がっています。
私にはどんな音が出るのかよくわからない民族楽器がいくつか登場するので、けっこう興味深いバンドのひとつです。

男女のヴォーカルでいて、曲によってメインが変わります。
概ね男性がグロウル、女性がクリーンヴォイスですが、この男性のグロウルは迫力満点でとても気に入っています。
メタルに限らず歌の上手い下手はバンドの評価に直結しますよね。

「Evocation I - The Arcane Dominion」というアルバムではアコースティックな曲を並べて、民族音楽でもただ者ではないことを証明しています。
ただエルベイティは基本的にデスメタル・バンドなので、ギャーギャーと賑やかな音楽を期待してこのアルバムを買ったら、あまりの質の違いに戸惑うこと間違い無しだと思います。

2012-06-28


動画で本来のフォーク&デスメタル的な「Inis Mona」。使用している楽器がわかって面白いです。



次にアコースティックな「Omnos」








ダルリアダ  (Dalriada)


ハンガリーのフォークメタルバンドてす。
フォーク・メタルとジャンル分けされるバンドは数あれど、メジャーの中ではいかにも民族音楽色の濃いメタルバンドです。
またバンド名のダルリアダとは、西暦500年頃、アイルランドから渡ってきたスコット人がスコットランド西部に建国したダルリアダ王国からとのウワサです。

男女ツイン・ヴォーカルのメタル・バンドは、女性がメインで男性はその引き立て役になる場合が多くなっています。
ダルリアダも基本的には女性がメインなんですが、男性ヴォーカルの声がとても好きです。
グロウルとかではなく、普通に歌っていて、ハンガリー語で歌っていることも相まって、ダルリアダの土着的雰囲気をかもし出していて気に入っています。
この2人のヴォーカルがアコースティックな演奏をバックに民族音楽を歌ったらとても素晴らしい雰囲気になりそうです。

曲では「Hajdutanc」とか「Teli enek」など、やはりフォーキーなフレーズがバシバシ現れる方が良いですね。
なにしろダルリアダを聴く時の気持ちは、何処にあるかも、文化もよく知らないハンガリーの人になってますから。



動画を2本。まずは軽快なテンポでダルリアダらしい代表曲「Hajdutanc」を。。。



次は典型的フォークメタルな「Teli enek」







アルコナ (Arkona)


ロシア・モスクワ出身のフォークメタルバンドです。
「ペイガンメタルの雄」と呼ばれるたりすることからも分かるように、メイン・ヴォーカルのMaria“Masha Scream”Arhipovaは女性にもかかわらす、実に勇ましく、かつ美しい音楽が出来上がっています。
ペイガンメタルとは民族音楽的なフォーク&ヴァイキング・メタルの中でもブラック・メタルに近いジャンルだそうです。
この辺になってくると違いがよくわかりますん。

いろんなサイトでArkonaと書いて「アルコナ」と紹介しているものの、本当にそう発音するのかははっきりとしませんが、たまたまYouTubeで「Goi Rode Goi」の動画を見たのがこのバンドを知った最初です。
この手のバンドではお決まりとなっている海と船が出て来る映像ですが、曲のイメージとピッタリ合って、一目見るなり「これはいい」と思ってしまったくらいインパクトが強い動画です。また、演劇的要素も兼ね備えたユニークなバンドです。

更にこの女性ヴォーカルのグロウルも素晴らしく、自然にクリーンヴォイスとの使い分けをしています。



では動画で「Goi Rode Goi」



とても民族音楽的で親しみやすいメロディを持つ「Yarilo」








カレバラ  (Калевала)


07年結成のロシアのフォーク・メタル・バンドです。
けっこう勇ましい女性ヴォーカルを全面に、フォーク・メタルの定番楽器アコーディオンを効果的に使っています。

ロシアでフォーク・メタルといえば、私的にはまずアルコナが圧倒的存在感がありますが、カレバラもキャリアを積めばアルコナに匹敵するような気がします。
なにしろ女性ヴォーカルのパワーが素晴らしいです。
やはりヴォーカルの良し悪しがそのままバンド自体の面白さに比例するケースが多いので、個性のあるヴォーカルを擁するカレバラは期待大ですね。

それにしてもロシアでは面白い民族音楽系バンドが多いですね。
それほどロックやポップスなどの歴史や実績も無いと思いますが、国の持つ潜在的パワーはすごいので今後はフォーク・メタル大国になるかも知れません。
その代わりメタルでは私が最も好きなゴシック系バンドはほとんど見当たらず、やはり音楽を含む文化的に俗っぽいものには抵抗が強いんでしょうかね。



Official Video で「Son-Reka 」



楽しそうなライブ映像で「Кукушкины дети」








コルピクラーニ (Korpiklaani)


コルピクラーニは、フィンランドのトラッド/フォーク・メタルバンドで、いかにも欧州らしい民族音楽を取り入れたバンドです。
日本で言うなら喜納昌吉が沖縄民謡をロックにしているのに近いと思います。

あまり聞き慣れない旋律ですが、フォーク・メタルというだけあって、日本でも馴染みの深いフォークダンスの曲をメタルにした感じです。
日本盤のアルバムもけっこう発売されていて、それなりに人気はあるようです。
私はほとんど新宿TSUTAYAのレンタルですけど、ちゃんとコルピクラーニというアーティスト別のコーナーがありました。

欧州ではこのような民族音楽は、けっこう生活に密着しているらしく、ヴァイキング・メタルなどを含めると、伝統的な音楽や価値観をベースにしたバンドはかなりいます。
日本でも「演歌メタル」や「武士道メタル」なんてあるとそれなりに受けそうだし、海外に「日本」を売りに出せて面白いんですけどね。



動画で「Keep on Galloping 」、 楽しそうなのか変なのか。。。











アモルフィス (Amorphis)


朝、新聞を読んでいたらアメリカの格付け会社スタンダード・アンド・プアーズが新しい国債格付けを発表したとのことです。
AAA(トリプルA)がドイツ・オランダ・フィンランドの3カ国だけになりました。

この3カ国を見て「おー、面白いメタル・バンドが多い国ベスト3と同じではないか。」と思ってしまいました。(なんと子供じみた感想なんだ)
と言うことで、トリプルAのフィンランド発のメタル・バンドを紹介します。

アモルフィスは民族音楽を取り入れたメロディックデスメタルバンドです。
個人的にはアップテンポでハードな曲よりも、スローテンポやゴシック的な曲の方が、どの曲も適度に民族音楽してて適度にメタルしてるので、何かしら安心感があります。

もともとデス・メタル・バンドなのでデスヴォイスがかなり入ってきますが、いたって自然な感じでメロディーの中に組み込まれていて、デスヴォイスが苦手な人でも抵抗無く受け入れられるのではないでしょうか。
最近のアルバムではかなりメランコリックな曲もあり、「Silent Waters」などは、いかにも北欧メタル的な音です。

それにしてもフィンランドからは、どうしてこんな素晴らしいバンドが次々と現れるんでしょうかね。
おそらくナイトウィッシュ以降と思われますが、今やメタルというジャンルでは、フィンランドを含めた欧州の方がアメリカよりずっと面白いバンドが多いと思います。



動画で「Silent Waters」








ブラックモアズ・ナイト (Blackmores Night)


ディープ・パープルのギタリストだったリッチー・ブラックモアと女性ヴォーカリストのキャンディス・ナイトを中心に結成されたユニットです。
誰しもがブラックモアのグループと言うことで、ハードロックを想像すると思われますが、実際はルネッサンス期のフォークソングや民謡に影響された音楽を演奏しています。

私も詳しくはないのですが、ヨーロッパ、特に北欧に根付いている音楽は魅力的ですよね。
世界中にたくさんある旋律の中で、一番綺麗で聴いて心地よくなれる旋律ではないでしょうか。

生ギターをメインにしながらも、ブラックモアの「売り」であるエレクトリックギターを使用してたりします。
ただ、ここまでやるなら、やっぱりアコースティックの方が雰囲気出ています。
「Under a Violet Moon」とか「Way To Manday」なんか魅力的ですね、本当に。


「Under a Violet Moon」



「Diamonds and Rust 」