フォーク・メタル


ヨーロッパを中心にフォークやトラッドをメタルサウンドにのせたり、
北欧神話や戦いに明け暮れるヴァイキングを主要なテーマに置いた

ヴァイキング・メタルとよばれるバンドが数多く存在します。
それら民族音楽を意識したメタル・バンドをピックアップしました。





Silent Stream of Godless Elegy


チェコの民族音楽色が強いゴシック・ドゥーム・メタル・バンドです。
初期の頃はドゥーム系の地下をイメージさせる音がメインで、男性グロウルが中心のバンドでした。
バンド名のSilent Stream of Godless Elegyからして、いかにもそれっぽいですよね。

最近は民族音楽が前面に出てきて、女性ヴォーカルが加わり、ヴァイオリンや民族楽器が雰囲気を盛り上げ、より一層知名度が上がってきたようです。
このバンドに関しては初期よりも、最近の民族音楽的の方が好きです。
民族音楽的と言っても、サウンドは厚く、しっかりとメタルしていて、ヴァイオリンなどの弦楽器がとても効果的に使われています。
他のゴシック系バンドのヴァイオリンより、民族音楽的な旋律を弾いているのが特徴のような気がします。
曲では「Slava」や「I Would Dance 」が良いですね。
民族音楽をベースにしたメタルバンドは数多く存在しますが、このバンドは個性的で気に入っています。
それにメンバーの見た目からか、知性を感じさせるバンドです。


ライヴ動画で「Slava」



続いて「I Would Dance 」







Cruachan


アイルランドの女性ヴォーカルをフロントにした民族楽器系ユニットで、あるサイトではケルティック・フォーク・メタルバンドと紹介されていました。
ケルティック・フォーク・メタルというジャンルが本当にあるのかどうかやや疑問ですが、とにかく欧州を中心にした民族楽器とメタルを融合した、曲によっては少しばかり不思議なサウンドなバンドです。

アイルランドや北欧をはじめとする民族音楽は旋律も楽器も様々で、メタルでも使用しているバンドはとても多いです。
日本の琴や三味線、尺八などが他の国ではあまり知られていないように、欧州の民族楽器の中には、私などには見たこともないような楽器がたくさんあります。
そんな民族楽器は素朴で繊細な音色を持つ楽器が多いような気がするのですが、このCRUACHANはけっこう荒っぽい音で、「ひょっとしたら下手なのかな」と思えたりします。
曲では「Ride On」や「Voice of Morrigan」が面白いですね。
特に「Ride On」は他アーティストのカヴァー曲ですが、なかなか雰囲気のある名曲だと思います。


動画で「Ride On」とVoice of Morrigan










Crimfall


フィンランドのフォーク・メタルバンドです。
民族音楽を強烈に打ち出すのではなく、ゴシックやブラック的要素を盛り込んだ、ストーリー性の富んだシンフォニック・メタルを展開しています。
一般的に言うヴァイキング・メタルに近いのでしょうか。(もっとも私はヴァイキング・メタルの定義がよくわからないのですが・・・)
女性ヴォーカルを中心に、男性グロウルもかなり入ってくる曲もあり、ヨーロッパが主流のメタル要素がてんこ盛りなユニークなバンドです。

フォークやトラッド系メタル・バンドの多くは、民族音楽のバックに歪んだギター音をかぶせた感じの「基本は民族音楽」です。
またはメタルに少しフォーキーな旋律を加味した「基本はメタル」かのどちらか割とはっきり区別できるのですが、Crimfallはしっかりと融合された、「いかにもフォーク・メタル」な曲を数多く演奏しています。

その代表的な曲の「Wildfire Season」や「Storm Before The Calm」は、そんな彼らの多才ぶりが存分に発揮された楽しい曲です。










LUMSK


ノルウェーのトラッド・メタルバンドです。
北欧風な旋律をとても美しい声の女性ヴォーカルが歌い上げます。
ヴァイオリンや民族楽器を使ったトラッドバンドのような曲と、メタル色が強い曲とで構成されており、私のようなにわかトラッドファンにもメリハリがあって飽きさせない面白さがあります。
ただ、個人的には高音域が綺麗な女性シンガーStineMariLangstrandの、淡々と歌う曲がこのバンドの最大の売りだと思います。

北欧のトラッドミュージックは、世界にあるたくさんの民族音楽の中でも、最も美しい旋律と言われることがあります。
そのトラッドミュージックの中心的存在のLumskの作品は、当然ながら素晴らしい曲満載です。

「Trolltind」や「Allvis」、「Godnat Herind」など基本アコースティックなスローナンバーがとっても素晴らしいです。











Falconer


スウェーデンのヴァイキング・メタル・バンドです。
このバンドの最大の売りはMathias Bladというヴォーカルの素晴らしさだと思います。
Mathias Bladはミュージカル出身らしくとても聴きやすく、メタル系では珍しいマイルドなクリーンヴォイスで、映画のナレーションのようないわゆる「いい声」です。
そんないい声がアップテンポな演奏にうまい具合に乗っかっています。
メタルと言えばメタルですが、20年ほど前のハードロックサウンドに似ています。

私のお気に入り曲は「Carnival Of Disgust」「Lord of the Blacksmith」など、アップテンポでヨーロッパの民族調メロディがふんだんに聴ける曲が好きです。
一時期Mathias Bladが脱退して違うヴォーカリストになり、アルバムまで発表していましたが、また元通りになったとのことです。












Fferyllt


ロシアのペイガン・フォーク・メタル・バンドです。
女性ヴォーカルと男性グロウルのツインヴォーカルで、なかなか勇ましいフォーキッシュな曲を演奏しています。
ロシアのフォーク・メタルバンドはアルコナとかカレバラなどを聴いたりしますが、このFferylltを含めて、どれも女性ヴォーカリストが勇ましくパワー溢れるヴォーカルなのは、たまたまなのでしょうか。
男性グロウルはフォーク・メタル系バンドに多い、無理矢理だみ声タイプです。
ドゥーム系のグロウルは地響きのような低音域で唸る、一種の効果音のようなもな対して、フォーク・メタル系は唸りながらメロディを歌わなければならず、あまり無理すること無いのにと感じてしまいます。

レパートリーの中に、このジャンルでは最も好きな曲のひとつ、Eluveitieの「Inis Mona」があります。
Fferylltもかなり頑張っていて、Eluveitieほど迫力と音の厚みは無いものの、より民族音楽らしいアレンジで聴き応えあります。











アルモラ (Almora)


トルコの民族音楽を取り入れたユニークなメタル・バンドです。
メタル・バンドとは言っても、日本で「メタル」という言葉が持つキンキンキラキラなイメージとは少し違いますけど、一応ジャンル分けするとメタルになると思います。

ヴォーカルの女性はとても上手いのか、そうでもないのかハッキリしないオペラっぽい歌声を聞かせてくれます。
演奏も「どうなんだろ?」的なところがありすが、それを差し引いたとしても聴く価値があります。

フルートが実に効果的、かつ新鮮なんです。
民族音楽的なリズムの上をフルートの音色がかぶさると、メタルでありながら牧歌的であったりクラシック的であったりと、独特な雰囲気に包まれてしまいます。
曲によってはフルートがリードを受け持っていて、メタルでギターなどを差し置いてリードをとるのはあまり無いと思います。
しかし、ジャズでも同じですが、小さく地味な楽器であるフルートが入ると、曲のイメージがガラリと変えてしまうパワーがフルートにはありますよね。



動画でいかにも民族メタルっぽい「Cehennem Geceleri 」



こちらも馴染みやすいメロディの「Cyrano」







リリエル (Lyriel)


ドイツのケルティック&ゴシック・メタルバンドです。
メンバーにはヴァイオリニスト、チェリストがいて、民族音楽を大々的に取り入れながらも、中世ヨーロッパのゴシック調を意識した音楽を演奏しています。
ケルトとゴシックを合わせるとメチャクチャスローで暗くなりそうなイメージがありますが、わりと明るく、かつ女性ヴォーカルの Jessica の歌声からポップス的でもある素直な曲が多いです。

ただし、Jessica はヴォーカリストとしては普通なので、曲が良くないとつまらなくなってしまうかも知れません。
ライブ映像などを見ると、今ひとつかなと思ってしまいます。
それを補っているのが美人な女性チェリストで、チェロの腕前はわかりませんが、とても中世ヨーロッパのヴィーナス的雰囲気を持っていて、この人の存在自体がこのバンドのゴシック色を強くしている感じもします。

まぁ、いずれにせよヨーロッパ的、かつユニークなバンドであることは間違いないと思います。



動画で2本ご紹介します。まずはライブでフォークメタルっぽい「Enchanted Moonlight 」


次はゴシックらしさがプラスされた「Paranoid Circus 」